“謡宝生”から能の謡を考える

投稿者: | 2020年4月11日

この記事をざっくり説明すると……

能の世界では、 “謡宝生”という言葉があることを、the 能.comで知りました。

能楽トリビア:Q156:“謡宝生”と呼ばれるのはなぜ?

これは、シテ方5流のなかで隆盛を誇る宝生流が、別名を付けるほど特徴的な謡であることを示す言葉です。

謡とは

能は謡と囃子によって成り立ちます。
囃子は器楽演奏であるのに対して、謡は声楽にあたります。
つまり、物語のセリフにあたるのが謡です。
演目は同じでも、流派によって謡はかなり違ったものになります。流派はいわゆる「演出」といってもいいのでしょう。

宝生流の謡とは

宝生流は「派手さのない重厚・堅実な芸風」が特徴だといわれています。
the 能.comの解説では、「節の一つひとつを明瞭に扱う」「拍子に合うところをはっきりと扱う」といったことをその特徴にあげています。

節そのものが華麗で、変化に富むこともポイントのひとつでしょう。わかりやすい例が、ヨワ吟で「甲かん」という超高音を使うところです。この音は高音の「クリ」より一段高い音で、他の流儀ではほとんど用例がありません。甲に繰り上げるという意味で、カングリと呼ばれる節になります。主に盛り上がる場面で登場し、謡の表現の幅を広げます。
逆に、殊更に寂しい場面、悲痛な場面、暗い情景の描写など、一見地味で目立たないようなところにも活用され、劇的効果を高めるケースも見られます。
ヨワ吟のカングリの節は、江戸時代、家斉の指南役となった14代宝生英勝(ふさかつ)が創始したと言われます。彼はまた、今日の宝生流の謡、芸風の基盤を作ったとも伝えられています。

まとめ

定期購読している「花もよ」にはCDが付いていて、収録の謡を聴く機会が増えました。
まだまだ流派の細部の違いを言い当てるまでには聴き分けられませんが、この説明で(JAZZのように)個性の違いではなく流派の演出がそもそも違いを生んでいることを知り、興味が高まりました。