the能.comに「春日龍神(かすがりゅうじん)」の演目紹介が掲載されました

投稿者: | 2019年6月13日

この話は、鎌倉時代の僧で華厳宗中興の祖とされる明恵上人と龍神のやりとりを綴ったもの。

仏跡を巡るために中国やインドへ渡ろうとする明恵上人が、暇乞いのために奈良の春日大社に参詣すると、それを老人が引き留めるやりとりが筋立てになっています。

その裏には、たとえそれが発祥の地のような由緒のある場所であっても、その地を訪れることを目的にするより、いまいる場所で研鑽を積むほうが「意味がある」という教えがあるようです。

なるほど〜、深い……。

あらすじだけを追うと、禅問答のようなきっかけもなく、ただ老人が渡航を引き留めるだけのような展開なので、明恵が改心するきっかけが伝わりづらそうです。

ということは、実際の舞台では、ここが見所、役者にとっては演じ処になるといえるのではないでしょうか。

才能の流出をないとか防ぎたいという想いはいつの世にもあるもの。

ラストにかけての八大龍王が現われる説得力が引き留める地にないと、この話はただの流出を防ぎたいだけの都合のいい話になっちゃうので、地域振興なんかにもつながるいい例え話と言えるかもしれません。