書き留めておきたいネタの整理をしていたら、
2019年前半で話題になっていたのが
『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』
だったことを想い出しました。
これは、皇族や公家をキャスティングした
王朝物の傑作として知られる作品。
98年ぶりに大序(物語の発端)の
「大内の段」が復活して、
1日がかりの全幕が通し狂言として
上演されることになったということが
各種メディアで取り上げられていました。
「週刊文春」のサイトではこれに関して
人間国宝の吉田和生さんを取材。
「この芝居は非常にスケールが大きな作品。中大兄皇子(後の天智天皇)と藤原鎌足のふたりが蘇我入鹿を滅ぼした大化の改新を題材とし、大和地方の伝説や言い伝えなども随所に織り込まれています。特に有名なのは、舞台の真ん中に流れる吉野川を挟み、将来を誓い合った男女の恋の行方を描いた『妹山背山(いもやませやま)の段』でしょう。和製ロミオとジュリエットともいわれますが、歴史の大きな流れに若いふたりとその親たちが翻弄され、やがて悲劇が起こります」
という紹介を引き出しています。
また、吉田和生さんが務める
雛鳥の母・後室定高(こうしつさだか)
についてはこのように。
「主人を早くに亡くした定高は女手ひとつで家を切り盛りし、領地争いで大判事清澄と対立しているため気はかなり強い。入内は女の幸せと娘に諭すものの、雛鳥には心に決めた久我之助(こがのすけ)という相手がいる。しかもそれは不仲な大判事の息子だった――親は子供の幸せを願うものですが、お家も守らなければならず心は揺れ動きます。自分にも娘がいますから、その気持ちは痛いほど分かりますね」
このほかにも、通し狂言が
文楽ならではの楽しみであることに言及。
第1部のスタートが10時30分、第2部の終演が
午後9時という長丁場。
それだけに、商い演出と表現力が求められるからこそ
人形劇の楽しさを味わうことができる
出し物になっていると言えるのではないでしょうか。
※写真は日本芸術文化振興会の国立劇場のページからお借りしました。
https://www.ntj.jac.go.jp/topics/kokuritsu/2019/5144.html