能「鉢木」から「いざ鎌倉」という慣用句が生まれたという話は小学校の教科書で習ったような気がするのだが

投稿者: | 2020年4月17日

この記事をざっくり説明すると……

the能ドットコムの能楽トリビアのコーナーに、「慣用句「いざ鎌倉」はお能から生まれた?」という記事がアップされています。

能楽トリビア:Q159:慣用句「いざ鎌倉」はお能から生まれた?

この「いざ鎌倉」という慣用句、「日本国語大辞典」には「さあ一大事が起こった、の意。中世鎌倉幕府の頃、大事件が起これば諸国の武士が鎌倉に召集されたところからいう。」という解説があります。そして「直接の出典としては、謡曲「鉢の木」」としています。

この「鉢木」を解説したのが、「慣用句「いざ鎌倉」はお能から生まれた?」という記事です。

「鉢木」とは

現在の群馬県で暮らしていた貧しい武士が、旅の僧をもてなすために、大事にしていた鉢植えの木を槙替わりにして暖を取らせたという話です。

その折りに、「いまは零落しているけれど、有事の際にはすぐ幕府のもとに駆けつけるつもり」という話をします。

実は、この話を聞いていたのが時の幕府のトップを務めて、出家していた北条時頼という設定なのです。

こののち、時頼は召集令を発して、その言葉どおりに駆けつけた群馬の貧しい武士を褒め称え、褒美を与えたというエンディングです。

「鉢木」のナゾ

この話は教科書で読んだ覚えがあります。たぶん小学校のとき。

なんだか芝居じみてて、陳腐な時代劇みたいだと思った記憶があります。

一般的にも、TVドラマの「水戸黄門」みたいだという評価みたいです(笑)。

しかも、このコラムによれば、「鉢木」には「いざ鎌倉」という文言が出てこないというのですね。

おそらく、「いざ〜というときには(幕府のある鎌倉に)駆けつける……」というストーリー(あるいは台詞)をダイジェストにして表現したフレーズなのではないかと。

おまけ

「いざ鎌倉」から派生したものとして、「すわ鎌倉」という言葉があるということを、このコラムで初めて知りました。

「すわ」というのは感動詞で、「人に注意したり、事態の進展に自ら驚いたりしたときに発する語。それっ。さあ。」(日本国語大辞典)とあります。

「すわ鎌倉」とは、「鎌倉なんじゃネ?」という感じでしょうか。

実際の使い方は、「酒は灘、醤油は野田、酢は?」という問いかけの答えとして「すわ鎌倉」を使うということなんだそうです。

なんだよ、ダジャレかい(笑)。

調べてみると、戦前に教えられていた「物産地理」なかで、名産を覚えるために使われていたなぞなぞだということでした。

ただ、灘と野田の名産は正しいものなのに、鎌倉で酢が名産だったことは確認できないので、やっぱりダジャレみたいですね。

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