ボーカロイドによる文楽というミクスチャーが話題になっている

投稿者: | 2014年9月18日

 

『ボーカロイドオペラ 葵上 with 文楽人形』の上演が、当初の予定を延長して、21日から1週間の延長上演が決定したというニュース。

 

original

 

『ボーカロイドオペラ 葵上 with 文楽人形』というのは……

 

『源氏物語』の「葵の上」を現代劇に再編、これを文楽で演じ、謡をボーカロイドにしたというハイパーな舞台を短編映画として記録したもの。

 

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謡をボーカロイドというより、ボーカロイドオペラというコンセプトらしいけど。

 

なるほど、そういうコラボはあるかもしれない。アニメではなく、人形劇と連動するボーカロイドの発展は興味深い。

 

ボカロオペラ『葵上』映画版に見る、ボーカロイドと文楽人形の共通性 – 音楽ニュース



 

これは、ボーカロイドの歌う音楽で文楽人形が演じた舞台を撮影した映画。台本・音楽・演出・舞台美術・音響効果は田廻弘志、映画の監督・編集・背景ビジュアルは加納真が務めている。同作は、今年7月にイギリスで開催された日本文化のイベント「ハイパージャパン」で公開され、好評を得たという。国内では、今回が初上映となる。300年以上の歴史を持ち黒頭巾の人々が手で動かす文楽人形と、ゼロ年代生まれのプログラミングされた“歌声の人形”が共演したその物語は、特異な空気に満ちていて面白かった。

 

すでにイギリスで上演され、好評を博しているというところも追い風だろう。

 

記事では別に、和風の要素を取り込んだエンタテイメントについても言及。

寺内タケシの「津軽じょんがら節」、『新八犬伝』や宇崎竜童の音楽を用いたロック版『曾根崎心中』、加藤和彦が音楽担当だったこともある先代市川猿之助の「スーパー歌舞伎」、ボカロ曲のカヴァー集『ボカロ三昧』などなど。

 

 ボカロによるオペラというと、渋谷慶一郎が初音ミクを起用した『THE END』が話題になった。人工的だが生命があるようでもあるボカロを通し、死生観の揺らぎを描く。二作にはそうした要素が共通しているが、現代アート的な抽象性と難解さでいっぱいだった『THE END』に比べ、『葵上』の三角関係と怪異は、『源氏物語』の時代から現代のSFやサイコものまで繰り返し語られてきたタイプの話だといえる。とっつきやすい普遍性がある分だけ、楽しみやすい。

 

また、ボカロと文楽のコラボでは「メルトの舞」の名も挙がっている。

 

昨年6月につま恋で催された世界ボーカロイド大会では、文楽人形が初音ミクの人気曲「メルト」で舞い、一部で評判になった。その時に人形を操った吉田幸助が、『葵上』でも人形遣いの中心になっている。そして、「メルトの舞」ではミクのお約束であるネギを人形に持たせたのに対し、今回の物語では人形がPCや携帯端末を操作し、割れたCDを手に持つ。

 

いずれにしても、文楽の謡とボーカロイドの意外が親和性が浮き彫りになり、エポックメイキングな作品になったのではないだろうか。