東京の国立劇場で2014年9月の文楽公演第3部に新作文楽がかけられていたようです。
タイトルは「不破留寿之太夫」。(ふあるすのたいふ)と読むそうです。
シェイクスピアの「ヘンリー四世」と「ウィンザーの陽気な女房たち」をベースにして鶴澤清治が監修・作曲、河合祥一郎が脚本、石井みつるが美術を担当したというもの。
人形や衣装、義太夫にいたるまで新たに作ったそうです。「ヘンリー四世」に登場するサー・ジョン・フォルスタッフをもじって不破留寿之太夫(ふあるすのたいふ)なんですね。
また、産経WESTというニュースサイトでは、1月に大阪の国立文楽劇場で上演された「冥途の飛脚」を取り上げ、文楽人形について詳説しています。
桐竹勘十郎さんが遣うと、あまり仕掛けが施されていない梅川の頭(かしら)にも微妙な感情が漂うという指摘。勘十郎さんの遣いを間近で見たことがありますが、手に取った途端に人形が人間に変わったと思ってしまうほどの変化がたしかにある。。。
記事では、国立文楽劇場の文楽技術室かしら担当の村尾愉さんの言葉を紹介。
「人形の首を製作するときは完成の一歩手前であえて止めます。師匠の大江巳之助師の教えです。最後は人形遣いさんが舞台で遣ってくださることで命が吹き込まれ、完成するのです」
村尾さんが2014年に作った1体が、先述の「不破留寿之太夫」の主人公の頭だそうです。
彼が教えを得た師匠、大江巳之助さんはこんな人。
大江巳之助 文楽人形師。明治40(1907)年〜平成9(1997)年。徳島県鳴門市出身。人形師の家に生まれ、昭和10年、大阪の文楽座の座付き人形師となり、戦後は戦災で焼失した人形の首を製作、当時の人形遣いの名人、初代吉田栄三や吉田文五郎らの指導・注文を受け、戦後の文楽の再興に尽力した。紫綬褒章、文化庁長官賞など。
こうした伝承は、気づきがなければ残していけないものです。その気づきを得るには、それなりの環境が必要です。大阪の文楽の伝承環境、なんとか途絶えないようにしていただきたいものです。